かるがも親子のイラスト

子どもから見た親の姿


 視覚障害をもつ私たちの元へ生まれてきてくれた子どもたちは、普段、そんな親をどのように感じているのでしょうか?

親があれこれ悩むよりも、子どもたちは自分たちの親の障害を「当たり前のこと」として受け入れてくれているようです。


「両親との関係」

愛知県 K.Mくん


 こんにちは。僕はK.Mと言います。
家族は両親との3人暮らしで、今年の4月から高校生になりました。

両親は弱視で、日常生活の中ではあまり不自由を感じているようには見えませんが、小さい文字を見たり
遠くの物や人の様子が分かりづらいようなので、僕が読んだり説明をしたりして伝えています。

 たまに「めんどくさいなぁ」と思う時もありますが、ずっと当たり前のようにしてきたので、嫌だと思った事はありません。

両親の事を知っている友達とも親の話をするし、特に問題なく付き合っているので、父母が弱視だという事について気にした事はあまりなかったと思います。
ただ、小さい頃からどこへ行くのも徒歩が主流の我が家だったので、
「うちにも車があったら便利で楽が出来るのになぁ」と思った事がありました。

でも中2の時、学校で24キロを歩く研修旅行があり、日頃から歩き慣れていたおかげで最後まで歩き通す事が出来たし、
両親と歩くときは、色んな話をしたり、しりとりをしたりして、楽しみながら歩いていたように思います。

最近では別行動をする事も多くなりましたが、今でも両親との会話はよくします。

父は物知りなので、勉強の事やパソコンの話をします。
たまにふざけ合って調子に乗りすぎて‥窓ガラスを割ったり物を壊したりして、母の雷が落ちます。
たいてい最後は、父のほうが僕の分まで叱られて、やっと母から解放されます。

そんな母は、勉強の事にはそれほどうるさく言いませんが、僕の生活態度には昔から厳しくて‥学校でいうなら「生活指導」みたいな感じです。
でも、普段は明るくて陽気、友達感覚で話せる存在です。

最近、僕もちょっとした事でイライラしたり、反抗的な態度になったりして、両親と揉める事もありますが、
それはお互いに思った事を言い合えるからこそ、意見が合わないと言い争いになったり、怒ったりするんだと思います。

この先も両親とは色んな事があるかと思いますが、会話の出来る関係でいたいです。


(かるがも新聞 2012年 6月号より抜粋)



「子供たちへの取材」

千葉県 S.Sさん


 白杖を持ち始めたばかりの方からよく聞く話をもとに、中学2年の娘と高校1年になれた息子へ質問をしてみました。
会話形式で記載させて頂きます。

母:「学校や外出時などで、お母さんが白杖を持っていたらいやかな?」
息子:「視覚障がい者が、白杖や盲導犬を持つことは、道路交通法でも決められているし、お母さんが安全に外出できることが、一番だよね。」
母:「でも、友達にお母さんが視覚障がい者だと言われたくないと思って、白杖を持ってほしくないと思っている子も中にはいるんだって。」
息子:「俺は、中学の時、お母さんのことを知らない友達には、自分からうちのお母さん、目が悪いんだと教えたよ。」
母:「へぇ、それでどんな返事が返って来たの?」
息子:「そうか、大変だねとか、しょうがないよねって言われておしまい。あと、みんな親の事なんか興味ないって感じで、話題にもならないよ。」
母:「興味ない感じなんだ。」
息子:「みんな、勉強や違う話題で(自分のことで)忙しいんじゃない?」
母:「じゃあ、もし、お母さんのことで意地悪をされたらどうする?」
息子:「そんなこと言うやつには、人の気持ちがわからない奴だから、だめだと教えてやるか、友達になれないから、こっちから無視だね。」
娘:「私はお母さんが白杖持っているから、みんな視覚障がい者なんだと説明しなくてもわかってもらえてるよ。」
母:「そうだね、お母さんも白杖を持っていると、視覚障がい者ですかとか、目が悪いんですかとは聞かれないよね。
説明しなくても、親切な人は大丈夫ですかとか、声をかけてもらえるから、結構『いい人探し』が簡単かもね。」

母:「視覚障がい者の子どもで大変なことはある?」
息子:「大変とは思ったことはないけど、面倒くさいなと思ったことはあるかも知れない。
でも、お母さんの代りにいろいろ調べたり、書類を書いたりしていたから、自分で出来ることが増えたし、自分の願書など書類を書くのは苦にならなかった気がする。
電車やバスなどの乗り方も自分で調べたりできるし、乗り物好きになれたよね。」
娘:「私は、お兄ちゃんが乗り物詳しいから、頼りにしていて乗り物に関してはそんなに詳しくないけど、手紙類や周りのものを気にして見ているな。
お母さんにも聞かれるし、他の子よりも、掲示されているものは、自分でチェックして必要か必要じゃないか確認しているかも。」
娘と息子:「あと、視覚障がい者の誘導や、食事などのとりわけは、上手くできるよ。」
母:「そうだね。お兄ちゃんは、この間も、駅で視覚障がい者に道聞かれて、案内してきたら電車一本乗り遅れての帰宅だったもんね。」
息子:「あれは、遅くなってもしょうがないでしょ?」
母:「(笑)」
娘:「部活などの送迎など、他の人に頼まなければいけないから、大変かなとも思うが、そのおかげでみんなに支えられていることを実感でき、感謝している。」
母:「結構、自分の親だと『やってもらっても、当たり前』だと思っている友達が多いかも知れないね。」
娘:「私は、見えることが、幸せだと思い、目を大切にしようと思っている。」
息子:「お母さんが視覚障がい者でも、今は、別に普通で、逆に俺たちが幼稚園の時は見えていたなんて信じられない。」
母:「慣れると、見えないのが普通になるんだね。」

母:「かるがもの会に入って感じたことは?」
息子と娘:「視覚障がい者の親がいる家庭って『うちだけじゃないんだ』と思った。」
母:「そうだね。こんなにいるんだと思わなかったね。」
息子と娘:「総会などで色々な所に親子で行けたり、遠い地方の友達ができるから楽しい。」


 と、こんな答えがありました。
子どもにとっては、親の障がいは、文句言ってもしょうがないし、自然に『世の中には色々な人がいて、当たり前だ』と受け入れている気がしました。

 だからでしょうか?
二人とも、友達には、方向音痴の子、落ち込みやすい子、障がいのある子など、個性的な友達とも普通に付き合えているようです。

 うちの息子は、「視覚障がい者の誘導は得意です。」と就職の面接で、特技を活かそうかなと言っていました。


「親が見えないということ」

東京都 A.Sさん


 東京都で夫とイヤイヤ期真っただ中の2歳の娘と暮らしているSと申します。
今回は編集員さんから原稿の依頼を受けまして、私なりに子どもの時に感じたこと、母となった今感じていることを書かせていただきます。

 私の母は網膜色素変性症で全盲、父は緑内障で弱視です。
私が母のことを「他のお母さんと違うらしい。」と意識し始めたのは小学校に上がったころです。
それまでも母が"見えない"ということはわかっていましたし、保育園の友だちも母の白杖を見て、「これ、なぁに?」と母に尋ねることは日常茶飯事でした。
それでも、幼すぎたせいなのか、周囲から特別な目で見られているという意識はありませんでした。

 私が「我が家は他の家とは違う」と強く意識させられたのは、近所の人や小学校で出会った友だちからのお決まりの質問、「Aちゃんの家ではだれがご飯を作っているの?」でした。
初めて聞いた時、私は頭の中にクエッションマークが沢山。
なぜみんなはそんなことを聞くのだろう? 他の家では違うの? と。
私はありのままに答えました。
「お母さんだよ。」と。
すると、「えー? だってAちゃんのお母さんって目が見えないんでしょ? できないでしょ?」という返答が判で押したように誰からも返ってきました。
そしてそのあとはきまって「掃除は? 洗濯は?」と質問は続きます。
同級生たちは私の返答を聞くと、「ふ〜ん。そうなんだ!」で終わりです。

ただ、大人の人は違いました。
質問攻めにした後、多くの人は
「それでもAちゃんがお手伝いしているんでしょ? 大変だね。
お母さんは可哀そうなんだから、頑張ってね。」と続けました。

私はこの言葉に言葉を無くしました。
すごく悔しくて、「絶対にお母さんにこのことを知られてはいけない」と決意したことを今でも鮮明に覚えています。

 私の母は目が見えません。
だけど、私たち娘にたくさんの愛情を込めてご飯を作ってくれました。
掃除だって、洗濯だって。
父も見えにくいことから、外遊びやダイナミックな遊びの経験が不足するのでは? との思いからYMCAのキャンプやガールスカウトに参加させてくれました。
夜はお話をしてくれました。
「赤ずきんちゃんがオオカミに食べられました。おしまい。」といった手抜きもありましたが。(笑)

 私は母がしてくれたすべてのことに感謝しています。
中でも最も感謝していることは、
母が決して自分の障がいを引け目に思わず、堂々としていたこと、
「目が見えなくて大変なことはあるけれど、私は不幸ではない。」と一貫していたことでした。
そして、
「人は皆違う。みんな違っていいし、その違いを認め合えればもっと豊かな世の中になる。」
という彼女のポリシーを彼女の生き方すべてで教えてくれたことです。

 そんなに頑張らなくてもいいんじゃない? と思うこともありましたが、私自身、母になって肩肘を張ってしまう気持ちもわかりました。
そして今思うこと、母はどんな思いで私を育ててくれたのか、それが少しだけわかったことで母への感謝と尊敬の念は日に日に増しています。

 「親が見えないということ」。
私にとっては豊かな感受性を育ててくれたこと、
なかなかできない経験をさせてくれたこと、
豊かな人生の入り口に立たせてもらったこと、
そういうことなのかなと、今は感じています。


(かるがも新聞 2014年 5月号より抜粋)



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